創業は明治33年!トレンドを掴んで売上高10倍になった食肉ECの成長方式

「オイシックス」による「らでぃっしゅぼーや」、「大地を守る会」の買収や「Kurashiru」のYahoo!子会社化からのEC参入表明など、ここ数年で業界の大改変があった食品EC業界。

日本食品EC業界図 出所:Business Insider Japan

いまでこそ当たり前になった食品をオンラインで購入する、という購買体験ですが、2000年代の頃はまだまだ、ECという言葉すら一般に知られていませんでした。

そんな中、宅急便のサービスが生まれる(1976年)よりも前から鉄道貨物を利用して牛肉を販売していたお肉屋さんがありました。今回はそんな神戸牛専門店、神戸元町辰屋のEC事業部部長、李 鍾昊さんにお話を伺いました。

神戸牛専門店 神戸元町辰屋 EC事業部部長 李 鍾昊さん

ZOYI:まずは簡単に、自己紹介をお願いします。

李:辰屋でEC事業部の取りまとめや顧客対応を担当しながら、ECサイトの作成・運営、社内システムの開発など、オンライン通販にまつわる全般に携わっております。 学生時代は芸術教育に興味を持っていて、、教育学部の大学院に進学したのですが、休学中に辰屋と出会うことになり、ECの面白さに魅了され大学院を中退、それ以来、神戸牛をインターネットで販売するという仕事を担当させていただいています。

ZOYI:教育学部ですか?ウェブのお仕事とは一見、全く関わりのない専門でいらっしゃったのかなと思ったんですが、どういうきっかけがあったのでしょう?

李:そうですね、大学のサークルの先輩がけっこう変わった人で、いわゆる学生起業、みたいな感じで「学生だらけの便利屋」を立ち上げたんです。 営業内容には“ホームページ作成承ります!”みたいなのもあって。先輩は全くパソコンは触れない人だったので、新しいものだったり、パソコンが好きな私に“IT関係はよろしくな!”みたいな感じで任せてもらっていました。 そんな経験がもとで、お肉屋さんのWEBスタッフをしてみないか?という声がかかり、かれこれ10年くらい前からやっています。

ZOYI: 10年! 会社も李さんも食品にしてはずいぶん早くからウェブの販売を取り入れていらっしゃったんですね。事業の成長という面ではいかがでしょうか?

李:最初は私を含めEC事業部は2名でしたが、EC事業も幸いなことに成長を重ね、今ではアルバイト含め7名がECサイトの業務に関わっています。 売上高はこの10年間でざっくり10倍以上に成長し、いまでは会社全体の売上の大部分占めるようになりました。

店頭に並ぶ商品。神戸牛として認定されるのは一部のみで、近年は繁殖農家の高齢化などで希少価値がますます高くなっているとのこと

ZOYI:10倍となると、確かに大きいですね。そうなると様々なチャネルでお客様の対応する必要が出てきているかなとは思うのですが、それがチャットを導入したきっかけだったのでしょうか?

李:確かにチャットは電話の延長線上の感覚に近かったです。 電話でお問い合わせいただくお客様ってほとんどの場合“じゃあ買います”ってなることが多くて。つまりコンバージョンにつながる可能性が非常に高いお客様で、その点はチャットも同じだろうと。

チャネル(channel.io)は無料でも使えて、対応が遅れてお客様がオフラインでもSMSでメッセージを送ることができるという点が導入のきっかけとなりました。 チャットはレスポンスが命、という風に考えており、スマートフォンのアプリを入れて使ったり、ちょっと変わった使い方ですが、APIを利用してIFTTTというツールを使って、PCがオンライン状態であってもiPhoneに通知が来るような仕組みを作りました。

ZOYI:かなりカスタマイズされていますね。お客様側は話かけやすいのでしょうか?

李:まだ慣れていないお客様はいらっしゃいますが、やはり海外のお客様などはチャットで気軽に話かけたりされますね。それと、これはうちのウェブサイトの問題でもあるのですが、サイトでピンと来ないところがあるとチャットで聞いたほうが早い、という方もいらっしゃると思います。

ZOYI:ありがとうございます。今後あればいいなと思う機能などはありますでしょうか?

李:やはり初速のレスポンスが大事なので、例えば数文字打ち込むと、レコメンデーションでどんな内容を返せばいいかを表示してくれるようなテンプレートのようなものがあるといいなとは思います。

ボットもありだとは思いますが、うちに問い合わせて下さるお客様のご質問はボットで返せるものではないことが殆どで、逆に有人対応をどう効率化するかというのが大事だと思っています。

ZOYI:なるほど、小規模店舗だからこそ、人が丁寧に返すという行為が強みになるんですね。辰屋さんは今後、どんな展開をされていくのでしょうか?

李:ウェブという点では、さらなるモバイル最適化ですね。モバイルからのアクセスが多くなる中、もちろん対策はしてきましたが、、当店のサイトはまだまだモバイルデバイスでは見やすいとは言えないかなと思っています。

また当店では世界に17億人と言われるイスラム教徒の方でも楽しめる「ハラール神戸牛」という商品を扱っておりまして、現状では国内に限定されるターゲットを、もっと世界へ拡げられないかということも考えています。

ZOYI:明治33年から営業されていますが、まだまだ攻めて行かれるんですね。その中で、お客様とのコミュニケーションでチャネル(Channel.io)がもっと役に立てられればと思います。本日はありがとうございました!

リニューアルした店舗はガラス張りでおしゃれなカフェのようでした