日本のこころを掴め!韓流式ブランドづくりの秘密、こっそり教えちゃいます!

大トロ。

新年マグロの初セリがニュースになって記憶に新しいが、今や高級食材として日本食には欠かせない食材となりつつある。

そんな寿司のネタのような名前だが、実は若い女性の間では熱狂的なファン層を持つファッションECサイトの名前でもある。インスタグラムで#OHOTOROでハッシュタグ検索をしてみると、数万件の投稿たちがいわゆる“OHOTORO”スタイルを作り上げていることがわかる。

昨年発売した“モコモコ アウター”は、**日本全国で大ブームとなり、朝のテレビ番組でも取り上げられたほど。

驚くべきはこのOHOTORO、実は本社が韓国ソウルの外郭に位置している聖水洞にあるという事実である。聖水洞は明洞や仁寺洞などに比べると日本人にはなじみが薄い場所であるが、もともとは革製品の職人や工場、印刷工場などが集う下町ともいうべき場所だ。

さしずめ日本でいうところの馬喰町問屋街・横山町問屋街にあたる場所というところだろうか。近年は街の再開発などで若手の芸術家たちが集まるなど、いまにわかに注目を集めており、聖水スタウトなどブリュワリーもできたことで「韓国のブルックリン」などとも言われている。

そんな場所で、縁もゆかりもない日本市場に向け27歳の青年がECサイトを立上げ、起業4年でOHOTOROを年商4億円の優良ブランドに育て上げた ジョン・ナムユン代表の話をうかがうため、オフィスに訪れた

名前が特徴的ですが、なぜOHOTOROに決めたんでしょう?

ジョン:オオトロってマグロの中でも脂がのっていてとてもおいしく、日本人には親しみのある部位ですよね。韓国であれば“サムギョプサル”みたいなイメージです。OHOTOROで買い物をするお客様のみなさんもワイワイと親しみやすくなることを願ってもいます。 それに、アパレル・ブランドが「大トロ」って、ギャップがあって頭に残るじゃないですか(笑)

正確に大トロをアルファベット表記にすれば“Ōtoro”ですが、私たちは“OHOTORO”というブランド名にしました。慣れ親しんだ単語のつづりを少しだけ変えることで、親しみやすさとユニークさ、両方のイメージを伝えたかったんです。ブランドのスローガンも“良いものをちょっとだけ”(Enjoy in bits)’です。

OHOTOR

アパレルのブランド名が“オオトロ”だなんて。

なぜ韓国ではなく、日本市場で起業されたんでしょうか?

ジョン:2013年当時、韓国ではすでにスタイルナンダ(STYLE NANDA)やIMVELY (イムブリー)など、数多くの独立系モールの戦国時代でした。一方、日本はまだまだ楽天やアマゾンといったShop in Shopでの販売がメインで、独立系のECサイトはほとんどありませんでした。日本は韓国とカルチャーが似ている部分も多く、ファッション市場が大きい国なので、これからは日本が来ると判断しました。

それでもいきなり外国で事業を始めることは容易ではなかったのかと

ジョン:そうですね。「カルチャーが似ている」って考えていたら、日本の市場は韓国とは全然違いました。侵入障壁の高い日本市場を理解し、入りこむために様々な努力を積み重ねてきました。

OHOTORO_ジョン・ナムユン代表

OHOTORO_ジョン・ナムユン代表 (出店 : オオトロ )

どんな違いでしょうか?

ジョン:まず日本の消費者は自分のスタイルに対するこだわりとプライドが強いです伊達にオタク文化が根付いている国ではないですね(笑)

ファッションも韓国では「今年これが流行る」となるとみんなそれを買いますが、日本では流行は流行で取り入れるものの、自分の好みを優先する層がずっと多かったです。なのでシーズンごとの流行がはっきりしている韓国に比べ、トレンドの影響がずっと小さかったです。

一方では、新しいものを簡単には取り入れない特性があります。良いものであってもブランドや会社に対する信頼が生まれる前には財布のひもを緩めることがありません。

初期のお客様の中で、その親御さんから電話をいただいたことがありました。ここの会社から娘に国際EMSが届いたんだけれども、一体なんの会社なんだって。初めてみる会社からの届け物だったので、心配になったんですね。その心配を解消するために、会社について丁寧にご説明する必要がありました。そのためうちでは、CS担当は日本の方を雇って対応してもらっています

実際に、日本ではWEBでも「会社概要」や「代表からのご挨拶」といったページのPV数が高くなる傾向にあるという話も聞いたことがあります。企業に対する信頼が購入の決め手になりますので。

このような学びから、日本マーケットに入るにはブランディングが一番大事だと感じまして。オオトロ というブランドがただのアパレルではなく、ライフスタイルとして生活に溶け込むレベルにならないとブランドとして盤石になったといえるだろうと思いました。

いまのブランドはどう育て上げたのでしょうか?

ブランド・コンセプトに関しては運が良かったとしか言いようがないです。偶然知り合った日本の、いまでいうインフルエンサーのブロガーさんが韓国ファッションに興味を持っていたので、一緒に起業しました。韓国のスタイルでもありながら日本でも通用するような製品コンセプトを見つけ、デザインを作り上げるうえでいろいろ助けてもらっています。

また、私たちはOHOTOR のブランドを自然に拡散させることに注力しました。SEOや広告よりはどうブランドを市場に溶け込ませるか、その方法について一番長く悩みましたね。

そこでたどり着いた答えの一つがOHOTOROのロゴを活用する方法でした。そもそもお客様がどういったカテゴリーのテーマに興味をもっているのか、Google Analyticsなどを活用して調べたところ、旅行が一つのキーワードが浮かび上がってきました。

そこでうちのお客様たちの手を通じてブランドが拡散するように、ロゴが入ったステッカーをくばって旅行用のキャリアに貼れるようにしたり、スマホケースなどを無料で配ったんです。そうすると自然にご自身のインスタにうちのロゴステッカーの写真をハッシュタグと一緒にあげてくださりました。

そうやっていくうちに、いまではお客様が自社製品とは関係ないものやアパレルですらないものに対しても「これってOHOTOROっぽいよね」という理由で弊社のハッシュタグをつけてくださるようになりました。

Ohtoro

Ohtoro のファンたちはInstagramでハッシュタグ付けやロゴのアップを行う(出所: OHOTORO )

ジョン:一方では、Journeyという形で韓国の話題の場所や食べ物などをテーマに独自コンテンツを制作してインスタにアップしています。トレンドの化粧品やファッションを分析した記事を書いたりもしますし。ドラマや芸能人だけでなく、自分たち独自の韓国関連の素材を積み上げていくことで「OHOTORO」という単語に新しいイメージをのせている感覚に近いです。

私のほうでもインスタグラムを拝見しましたが、言葉では説明しにくい“OHOTORO”っぽさって確かにあるかなと思いました。その反響はどうだったんですか?

一気に流行る韓国のマーケットに比べると、確かし日本はマーケットに定着するまで時間がかかる気がします。日本の職人たちが丁寧にモノづくりをするように、一つの趣向を作り上げていくのに近いですね。

そんなときに、予想だにしなかったところからヒットが生まれました。うちのプロダクトに“mcmc outer”というのがあるんですが、これが韓国では5年位前かな、に一度流行ったスタイルなんです。

これをOHOTOROスタイルに再解釈して出したら口コミで広まり、日本のモデルさんたちが着てくれるようにまでなりました。それであれよあれよいうまに全国的に流行になったことでテレビの番組に取り上げられ、大ヒット商品になりました。1日の売り上げが数千万にまでのぼるという、これまで経験したことのないヒットで正直夢じゃないかと思いましたね(笑) これを契機に一層日本ではトレンドを追うのではなく、自社のブランドを育てることが重要だと再認識しました。

オオトロ_ドフラミンゴコート

日本で大流行となった“モコモコアウター”。漫画「ワンピース」のキャラクターであるドフラミンゴの衣装と似ていることから“ドフラミンゴ・コート”とも言われた

ソウルの隅っこで生まれたコートが日本でヒットするなんて、面白いですね。ブランドの色に集中した結果ということでより素晴らしいです。

ジョン:これからもOHOTOROはマーケットのトレンドより自社ブランドの構築に集中するつもりです。たとえばiPadを買うときに、その機能が欲しいから買うんじゃなくて、アップルというブランドが魅力的だとか、単純に“買いたいから”買うんです。自分たちのお客様にも「OHOTOROのものが欲しい」といわれる製品を作りたいですね。いつかOHOTOROがアパレルじゃなくて飲食店で会っても、OHOTOROが出したお店だという理由で行きたくなるような、そんなブランドに育て上げたい。

終わりに

ブランドは流行に乗るものではなく、育てていくもの。当たり前のことかもしれないがそれを実践しているOHOTORO日本で愛されるブランドを育てるため、日本の特徴を深く理解し、その知見を取り入れていた。

テレビにも取り上げられ、一日の売り上げが1千万円を超えた話をしながらもなお落ち着き払っているジョン代表の話しぶりから、OHOTOROが“海外ブランドには難しい”といわれる日本のマーケットで成長していったのか、なんとなく知ることができた。

いつか彼のOHOTOROブランドがファッション界のアップルになっている日を期待したくなるインタビューであった。

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